なぜ生演奏にこだわるのか

なぜ生演奏での授業にこだわっているのか。

まずCDやDVDの教材を使ったものでしたら、ご自宅でもできますよね。もちろん、先生の声がけや他のお友だちとの関わりなどを考えると一概にはそうとは言えませんが、好きな歌を
歌って踊るのであれば十分に家でも出来ることです。

そこがいい点でもあるのですが、CDやDVDは毎回同じです。テンポも繰り返しも変わりません。その日によって、少し速く歌ったり、ゆっくり聴いたりしたい気分ってあると思うんです。同じ曲でも。ですがそれはあくまでも決まった曲の時の話です。

では何故、生演奏にこだわるのか。生演奏でなければいけないのか。

それは子どもの動きや発想は予測がつかないからです。例えば、楽器を片付ける時に弾く曲があります。あるクラスは、すぐに片付けが終わってしまいました。あるクラスでは、1つずつ丁寧に往復しながらゆっくり片付けます。途中でお友だちとぶつかりそうになり、譲り合ってなかなか終わらないクラスもあります。それぞれの子どもたちの動きに合わせて、生演奏でその伴奏をするのです。最後まで丁寧に楽器を運んでくれた子の動きと、ピアノの音が一緒になるのは、なんとも心地の良いものです。

また、「即時反応」と呼ばれる、ピアノの音やリズム、強弱の変化に子どもたちがすばやく反応する課題があり、「音が聴こえたら動く」「音が止まったら止まる」「速いテンポで弾いたら走る」「ゆっくりのテンポだったら歩く」など遊びの中から取り入れやすいものです。これは絶対に生演奏でないとできません。

CDの音楽に合わせてやるのは、即時反応ではなくお遊戯です。生の音楽というのは、その場にいる全ての人、環境・空間があって作り出されるものです。人の動きを見て、その場で弾き方を変えていく、それに反応する。これこそが音楽の楽しみです。

低音で弾く怖い印象の「ヘビ」の曲を極度に怖がる子がいたら、即座に音量を小さくしたり、なんだか今日はテンションが高いなと思ったら、少しテンポを速くしてわざと思い切り力発散させてから落ち着いた曲を取り入れたり。プロムラミングできない、毎回違う生の時間だからこそ、集中して楽しめるのです。