親子の時間に嫌気が

お子さんの習い事に音楽教室を選んでくださる親御さんの考えは千差万別。初めに「どうしてこの教室を選んだのですか?」と伺うと「後々ピアノやヴァイオリンなどの楽器をやらせたいから」「音楽が好きそうだから」「歩けるようになって参加出来るかなと思ったから」などとお答えいただけます。

しかし、しばらくすると「実は…親子2人きりの生活に嫌気がさして、とにかく外に出たかったんです。」というお話を聞くこともあります。

「0歳からやれるもので、通いやすいものを探していました。それまで会社勤めをしていたので、妊娠中ずっと家にいる時点で社会からの孤立感を感じ、そして子どもが産まれて毎日が不安の連続。もう3ヶ月?もう6ヶ月?子どもの成長は早いわね~、なんて言われますけど、こちらにしたら1日1日が長くて、もっと言えば1分1秒も長くて、やっと3ヶ月、あぁ6ヶ月、というのが本音でした。このままではいけないと思い、見つけたのがリトミックで、子どものためにはもちろんなんですけど、親も良い経験が出来ていますし、母親として少し成長出来る場所になっているなぁと思っています。これからもよろしくお願いします。」 とっても考えさせられる言葉でした。

音楽以外のことを学べる教室にしたいと思っていますが、お母さんにとっても経験の場になっていること、嬉しく思います。生演奏を聴きながら、他のお母さんたちと子育ての話をしたり、音楽を通じてお友だちとコミュニケーションをとっている我が子の様子を見たり。音楽教室だからこそなし得る大切な時間なんですよね。

SNSなどでかわいい子どもの話、今日はどこへ行って何を食べて、こんなお洋服着て毎日充実しています!などという投稿を見ると、今子どもに対してイラっとしてしまった自分は変なのかなと思ってしまうこともありますよね。みんながみんな、毎日お出かけしてお買い物して美味しいものを食べているような錯覚に陥ることもあります。

今日はずっと家に居て、お昼は昨日の晩ゴハンの残り物を食べ、片付けてるそばから汚されて、という事をわざわざ書く人はいません。生の音楽は生き物です。そこに居る人、そこにある空間でいかようにも変化します。例えそれを録音・録画したとしても振動や響きは再現できないですし、何より同じ音を聴いた時に誰かとそれを共有することが楽しいんですよね。

やはり生の音を聴いて、触って感じて、見て嗅いで、五感で楽しむ時間を大切にして欲しいです。音楽ってその場で味わった感動は、それ以上どう伝えようがないものだと思うのです。それをそこにいる親子、お友だち間で十分にシェア出来ていれば最高です。

友人との会話中で「学校の宿題見てくださいねって言われるのも、ピアノの先生から練習見てあげてくださいねっていわれるのも、負担に感じることがあるんだよ」と聞きました。本当にお母さんってそのような時は損な役回りで、宿題や練習を促すと嫌がられたりするかもしれません。

練習に口を出すとケンカの元になることは重々承知です。ご家庭での練習の際にお母さんが言ったことと同じことを私がレッスンで言うこともあると思います。あんな言ったのに聞かなくて、先生が言ったらすんなり受け入れた。ありますよね。家で何も見てあげてない親と思われるのではないか、躾がなってないと思われるのではないか、とまで気にしてしまうと言っていましたが、先生たち、みんなわかっていますよ。

お父さんお母さんがどんなにたくさんお子さんのこと考えているか。楽器を取りに来ても、1番キレイな物をお母さんに選ぶ子。自分で出来るよと言いながら、お母さんがちゃんと見ていてくれているかチラチラ確認している子。お父さんが一緒に来てくれた日は、いつもより張り切ってやっている子。お父さん誕生日だからこっそり歌を準備しているんだと嬉しそうに話してくれる子。みんな受け取った愛情をそのまま返しています。

これからもたくさんの親子が笑顔になる瞬間をたくさん見られますように。そして音楽が常にそこにあり、人と人とを結ぶ架け橋となりますように。